リフレクション 写真展 / director 湊雅博

山下 隆博 |Takahiro Yamashita

 「矛盾と余白の在り所/サイエンスとフィクションの在り所」
 社会と向き合う時その事象がどのようにして成り立ったのかという事に興味がある。それを真実として自身に納得させるにはその場の事実と向かい合わなければいけない。加えるのであれば当事者でなければいけない。
 自身と関係のない事象に立ち会う時に当事者になる事はよっぽどでなければかなわない。という事は結してその事象と私という自身は交わる事はないだろう。その事象に関わる術として私は写真を選んだ。それは結して交わる事が出来ないのであれば、ただその物事を平行線上で眺めつつづける為だ。

 写真は一度画像を手に入れてしまえば反復して何度も見る事が出来る。しかし、それは動画であっても同じ事だ。そこには写真以上の情報を記録する事が出来る。明らかに写真は劣っていると思えてしまう。しかし、私はここで「真理は細部に宿る」というドイツの美術史家アビ・モーリッツ・ヴァールブルク氏の言葉を持ち出そうと思う。
 細部というものが何なのかという解釈は十人十色かもしれない事を肯定的にとらえ、私の解釈として述べるのであれば、細部とはものの在処であり、それらの作用一つ一つなのではないだろうか。それらの要素を事細かに立ち止まり認識する事が可能なのが写真ではないだろうか。
 そこに置いてあるものが、そこにいる人が、動いている何かが、その形自体が、何かの因果でそうなっているのであれば、その些細な細部の積み重ねが事象を引き起こしているのではないだろうか。

 故に細部を知る事は事象を知る事であり、世界を知る事になるのではないだろうか。細部を知る事によって世界の輪郭に触れる事が可能なのが写真なのである。
 写真群はとても曖昧で不確かのものだと思う。しかし、それら一枚の中にあるものは確かにそこにあったという事実だけは変え難い、そこに私がいたという事実も変え難い。しかしそれでも、曖昧だ。
 そこに百の、万の言葉を加えようともそれは観者の真実にはなり得ず、事実にもならない。
 それはただの私の真実の獲得しえた画像群であり、文章である。そして、それを私は写真作品だと言っている。

1984 北海道生まれ
2005 日本写真芸術専門学校二部卒業
現在は東京にてインドや河川、原発問題などを主に扱い活動をしている。
個展
2014 「心の温度」ニコンサロン/東京(5/20-5/26)大阪(7/31-8/6)
2013 「UMIYAMAYUKINO」キチジョウジギャラリー  東京
2012 「多摩川をなぞる」 Place M  東京
「わすれて、わすれないで、」 TAPギャラリー 東京
2011 「奇跡の傍らで眠る」810ギャラリー 大阪
2010 「Suicide Spiral-tears and birds twittering-」ニコンサロン 東京/大阪
2009 「この流れの彼方-多摩川-」トーテムポールフォトギャラリー 東京
2007 「多摩川の陽々」 コニカミノルタプラザ 東京
グループ展
2014 「Xishuangbanna Foto Festival 2014」西双版納(シーサンパナ)/中国
2013 「Madurai Photography Festival 2013」マドゥライ/インド
2011 「Zine TEN-photography-」ハッテンギャラリー 大阪
「birds in the frame」ハッテンギャラリー 大阪
「第4回写真「1_WALL」展」ガーディアンガーデン 東京

HP:http://takahiro-yamashita.co.uk/

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