若山 忠毅|Tadataka Wakayama
5月と8月の休暇を利用して北陸と東北へ行った。道中を移動して、どういう風景がみえてくるのか、写真を撮りながら確かめることにした。すると、移りゆくうちに一見没個性的な道端の事物が風景として浮かび上がってきた。
誰もが気にとめることもない幹線道路沿いの建築物や草木が繁茂する様子は、よくある風景とか、奥深さのないものとして考えられがちである。その様子は、ある程度は前後の空間との関係性を見出すことができても、何の働きかけもしてくれない不可解な空間である。こうした自然と人工の縁(へり)や間(あわい)は、人間や自然の営みに属さない不明瞭な場所だといえる。
しかし、次第にそうした均質で疎らな空間に違和感や親密感を覚えるようになってきた。おそらくそれは、元々抱いていた地方のイメージと、現地で目の当たりにした風景との差異によるものだろう。あるいはまた、その土地固有の属性を持たないそれらの宙づりな状態が、郷土=国土を愛することができない自分の精神性と合致していたからなのかもしれない。
日常生活を離れたところを移動していると、郷愁よりも虚ろな現実が、近づけども近づきがたい、生活の営みから疎外された「日本の風景」が浮かび上がってくる。
1980 | 生まれ |
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2011 | 早稲田大学芸術学校卒業 TAP Gallery メンバー(2011.10-2014.12) |
2014 | 第10回写真「1_WALL」展ファイナリスト |
個展 | |
2015 | 「余暇、観光、そして疎ら-東北・北陸-」 蒼穹舎 東京 |
2014 | 「余暇、観光、そして疎ら」 TAP Gallery 東京 |
2013 | 「外環」 TAP Gallery 東京 「世間は美しいものであふれている」 TAP Gallery 東京 「縁」 TAP Gallery 東京 「Urban sprawl」 TAP Gallery 東京 |
グループ展 | |
2014 | 第10回写真「1_WALL」展 ガーディアン・ガーデン 東京 |