東北
東北地方の家を2009年から撮影しています。
3年半ほどが経過しましたが、この期間、震災という大きな出来事があり、また自分自身の身の上や生活にも様々な変化が起きました。何かが流れ始めているような、そんな3年半でした。
はじめは家を見て回るだけだった東北行も、回を重ねるにつれ、その目的や意味も重層的になってきました。
また震災以降、それまでぼやけていた自分の中のある部分へのフォーカスが、はっきりと合ってきた、そんな感覚を持っていますが、そういった感覚を呼び覚ました震災が、東北行の重層性をより加速させた事は間違いがありません。
今回展示する写真は、最初に訪れた2009年に撮影した青森地方の家です。写真をご覧いただき、東北地方の家の魅力をもし感じられたなら、それは一体何なのか。その事をご覧になった皆さんが、各々の身体において考えられる経験と成り得た時に、この作品が意味あるものとして成立するのではないかと考えています。
人間が、自らが思考し、行動する存在となることの重要さと、またその難しさを痛感させられる生を生きる、私からの問いかけでもあります。
2013年3月5日 坂本政十賜
1965 | 東京生まれ |
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1989 | 多摩美術大学デザイン科グラフィック専攻 卒業 |
個展 | |
2009 | 「青森の家」ジュンク堂新宿店カフェ |
2007 | 「空間=風景」プロジェット 「FLOATING」西瓜糖 |
2000 | 「TOKYO SNAP」 ギャラリーライトワークス (LIGHT WORKS EXHIBITIONS 4 天野太郎企画) |
1999 | 「INCIDENT 1999/TOKYO」 ギャラリーNWハウス 「1998-1999/OSAKA」ガーディアン・ガーデン (’99写真「人間の街」プロジェクトpart2 NEO DOCUMENTARY企画) |
1997 | 「off ground」ギャラリーNWハウス |
1996 | 「構築の間」多摩美術大学上野毛校舎 |
1994 | 「「非属領的地勢観察」ギャラリーNWハウス |
グループ展 | |
2011 | 「フウケイ」UP FIELD GALLERY |
2009 | 「LAND SITE MOMENT ELEMENT」UP FIELD GALLERY |
2008 | 「Invisible moments」UP FIELD GALLERY |
2002 | 「風景の余白に:写真」日仏学院 「○と□/坂本政十賜+たなべまさえ」 appel |
1998 | 「UNDER/EXPORSED」ストックホルム |
1996 | アルル国際写真際-VOIES OFF企画(日本特集)- 参加 |
著書 | |
2006 | 写真集 FLOATING espace vide 写真集 TRAVELING espace vide |
2000 | @SHIBUYA PHOTO/DICE BOOKS 001 UPLINK 共著 |
雑誌掲載 | |
2009 | 日本カメラ5月号「UNDER THE SUN」カラーグラビア5ページ |
2011 | アサヒカメラ2月号「東北」カラーグラビア8ページ 日本カメラ10月号「武蔵野」カラーグラビア6ページ |
人が空間を知覚し、空間に影響を受け、空間を変容させ、空間に住まう。
自然と人為が交錯する人と空間の相互作用の中に、私もまた、巻き込まれてある。
その渦中に、写真というひとつの技術を介入させる。
私たちの視覚に似ていながら、視覚とは異なる理論に基づいて生み出された、写真術による像。
被写体の存在を忘れさせておかないが、被写体へと辿り着くことのない像。
私からは到達できない他所があることを、写真は静かに告げている。
私は写真に、他者を見ている。
壁の向こうからきれぎれにもれ聞こえてくる声に耳をすますように、写真を覗き込む。
他者と私のあいだが、新たな空間として立ち上がる。
この空間に触れるため、私は写真に関わっている。
1981 | 東京生まれ |
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2007 | 一橋大学言語社会研究科修士課程 修了 |
2010〜2011 | 写真展示スペースBroiler Space(東京・桜上水)を小松浩子と共に運営 |
現在 | 東京在住一橋大学言語社会研究科博士課程在学中 |
個展 | |
2005 | 「DAEDALUS」 Musee F |
2007 | 「Absolute Reasons」 表参道画 |
2009 | 「AX」 Musee F |
2010 | 「OGU MAG企画展White Frame vol.3 Chikako Enomoto “Reflections”」 OGU MAG |
2011 | 「bypass」 Toki Art Space「OGU MAG企画展White Frame vol.6 Chikako Enomoto “Lightning without Thunder”」 OGU MAG |
グループ展 | |
2010-2011 | 「Monthly Exhibition #01-10」 Broiler Space*榎本千賀子、小松浩子による月一回、全10回の連続展 |
2011 | 「新潟発・日本の発見 映像と記憶のアルケオロジー 1865-2011」Maison du Japon パリ |
展覧会企画 | |
2010 | 「今成家写真 写真との出会い: 江戸末期から明治 新潟にて」 Broiler Space協賛:ピクトリコ 協力:新潟大学 |
出版物 | |
2004 | 「太陽とガジュマルの間」『月光』第23号 南原企画 |
2005 | 「紙とインク 写真と文字」『Ren』一橋大学言語社会研究科 紀要別冊 創刊準備冊子 一橋大学言語社会研究科 |
2007 | 「千切れたいま、ここ」『Ren』一橋大学言語社会研究科 紀要別冊第1号一橋大学言語社会研究科 |
2008 | 「Photographers File」『Photo GRAPHICA』vol.10 MdN「Young Photographers File_2008_01」『Photo GRAPHICA』vol.11 MdN |
2011 | 「見世物の記録 ダイアン・アーバスの「一種の人類学」と親密性」『一橋大学言語社会研究科紀要 言語社会』 No.6 一橋大学言語社会研究科 「六日町の今成家写真 写真に響く歓声を聞く」『みなみうおぬま』 第9号 南魚沼市教育委員会 |
HP:Chikako Enomoto Web DAEDALUS https://sites.google.com/site/chikakoenomoto/
私が写真を撮る時におこなっているのはおそらく、被写体と自分の立つそれぞれの点を探す行為です。風景、動物、静物、人間と向き合って写真に残す。
写真を撮る事で時間を埋めて行くと、救われているという感覚を持つことができました。その状況のおもしろさや世界のできごとを、写真によって客観的に記録することにはあまり向いていないようです。
風景を撮る時は、自分を重ねて撮る、自分をうすくのばして透明にしたいくつもの濃さのフィルターを持って歩いて、その風景の前でぱっと出してレンズの前にかざして撮る。
その瞬間がどんどん過去になっていく、点と点が線になっていく。
そのことにずっと後になって気づく。
それは歯がゆいことだけど、とてもありがたいことだと感じています。
1981 | 神奈川県生まれ |
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2002 | 東京綜合写真専門学校 卒業 |
2005〜2009 | gallery Archipelago 共同運営 |
個展 | |
2012 | 「みっつの点のきまりごと」 switch point |
2007 | 「あおあおとグリーン」 gallery Archipelago |
2004 | 「ジョンとジョンと」 art&river bank |
2002 | 「ジョンとジョンと」 art&river bank |
グループ展 | |
2012 | 「ZINE/BOOK GALLERY! 2012」 宝塚メディア図書館 「写真の地層展vol.14・STRATO FOTOGRAFICO 2012」世田谷美術館区民ギャラリー |
2009 | 「第14回yp展」 清里フォトアートミュージアム |
2006 | 「うべなうべな」 gallery Archipelago |
2005 | 「why not refuse?」 gallery Archipelago 「INS AND OUTS #portrait(S)」 gallery Archipelago |
2004 | 「INS AND OUTS #2:green」 gallery Archipelago |
2002 | 「TRANS」 EX’REALM |
コレクション | 清里フォトアートミュージアム |
作品集 | つばめブックス vol.21 |
私にとって写真とは世界と自分自身とを繋ぐものである。
世界というのは内面の世界(自己)と外側の世界(他者)のことで、写真を始めてからこの二つの世界と向き合い続けている気がする。
私の撮影する光景は他者の目線を含まない。しかし自分ではない他者の存在を強く感じられる光景を探し求めて、自分と関わりのない他者の住む土地をひたすら歩き回り撮影する。そして他でもない自分自身がその場にいてその光景を見ていた、という事実が大切で、惹かれた光景とそれを見ていた自分という二つが存在している状況事体を写し込みたいという思いで撮影し、作品を制作発表している。
1981 | 佐賀県生まれ |
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2004 | 東京女子大学 卒業 |
2006 | 専門学校東京ビジュアルアーツ 卒業 |
2008〜2011 | TOTEM POLE PHOTO GALLERYのメンバーとして活動 |
個展 | |
2006 | 「しずまないうちに」LOTUS ROOT GALLERY |
2008 | 「月がついてくる1〜3」 TOTEM POLE PHOTO GALLERY 「月がついてくる」ビジュアルアーツギャラリー大阪 |
2009 | 「月がついてくる4」TOTEM POLE PHOTO GALLERY 「a trip to Europe」TOTEM POLE PHOTO GALLERY |
2010 | 「月がついてくる5」TOTEM POLE PHOTO GALLERY 「works 04-05」TOTEM POLE PHOTO GALLERY 「月がついてくる」ギャラリー冬青 「森をさがす|月がついてくる」展 TOTEM POLE PHOTO GALLERY *林田摂子さんとの連続展 |
2011 | 「聖 – hijiri – 」TOTEM PO LE PHOTO GALLERY 「月がついてくる6」TOTEM POLE PHOTO GALLERY |
2012 | 「A trip to Europe」gallery 10:06 大阪 |
グループ展 | |
2009 | 「Opera」TOTEM POLE PHOTO GALLERY 「やさしいモノクローム・銀塩写真の表現力」 TANTO TEMPO PHOTO CAFE AND GALLERY 神戸 国際展「窓の表面/スロー&テンス アトモスフィア2009」京都市国際交流会館 |
2010 | 国際展「ミラー・モンタージュ」ベルギーフランドル交流センター 大阪 TPPGメンバー展「Opera in Kyoto」京都精華大学アートスペース shin-bi 「Shinjuku × TPPG」 TOTEM POLE PHOTO GALLERY 「窓の表面 / SEOUL 2010.9.1 – 9.18」PHOS Gallery ソウル |
2011 | 「2011×TPPG」TOTEM POLE PHOTO GALLERY 「The Historic Future 5.5 青梅」TOTEM POLE PHOTO GALLERY |
2012 | 「大街道展 –私の好きな場所–」そら塾 /根岸・Gallery 美0/大阪 「POV Female Tokyo」CALM & PUNK GALLERY 西麻布 |
写真集 | |
2010 | 「月がついてくる」 冬青社 |
2011 | 「A Trip to Europe」 mcvmcv |
2012 | 「Before Sunset Comes」 oodee |
初めて<写真>を意識した頃から私はごく自然にカメラ/写真を自己確認の道具=欲望の鏡として使ってきたようだ。まるで瞑想のように外界に反応する自分自身を観察、腑分けし、欲望を消化し続け、それでも残るものについて問い続けてきた。ファインダーを覗いている間、幾つもの意識が渦巻く混沌の奥で蠢くもの。この体を動かす原理。個の壁を越えてヒトは何を求めているのか、命とは何か。根源的な謎を自身の内面を探る事で見つけることが出来るだろうか。
1972 | 東京生まれ |
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1997 | 東京造形大学造形学部デザイン学科Ⅰ類写真コース 卒業 |
2011 | 出版レーベル・シンメトリーを設立 |
個展 | |
1994 | 「 POPLIFE」ギャラリールポリエ |
1998 | 「 写真の在りか」北鎌倉ワイツギャラリー |
2002 | 「 ローレンツ氏の蝶 」アイデムフォトギャラリーシリウス |
2009 | 「 続きの代わりに」月光荘 |
グループ展 | |
2010 | Gin-En展「続きの代わりに」 東京アートミュージアム |
写真集 | |
2011 | 「ローレンツ氏の蝶」 シンメトリー |